
骨粗鬆症はカルシウム不足によって引き出される病気です。しかし、予防はカルシウムだけ摂ればよいというものではありません。
骨を強くするためには、タンパク質やビタミン、その他栄養素が大きく影響しているからです。
「ドベネックの桶」と言われている理論があります。これは、桶を作るための板の一枚を一種類の栄養素と仮定しています。そして作った桶に水を入れた場合、一部だけに特化して作ったとしても、結局水は一番低い板のところまでしか満ちません。
つまり、バランスを良くしなければ、期待した効果は得られないということです。
この理論は本来、植物の成長の仕組みを説明する時に用いられていた理論なのですが、栄養学においても同じことがいえます。
実はカルシウムは吸収効率が非常に悪く、一番吸収効率が良いとされる牛乳ですら、摂取したカルシウムの4割しか骨に吸収されません。
また、骨を作るためには骨を作るのに欠かせない成分であり、カルシウムだけ摂取しても意味がないのです。よって、カルシウムの吸収を促すビタミンCや、ビタミンDも一緒に摂取しなければなりません。
このことから分かるように、栄養バランスを考慮した食事というのは、非常に重要なことなのです。
バランスの良い食事内容の具体的な例を紹介していきます。
まずは主食、いわゆる炭水化物です。主食はご飯お茶碗一杯、トースト1枚を「1」としてカウントした場合、一日で計5~7摂取するのが好ましいです。
炭水化物は人が動くために必要なエネルギーの源であり、炭水化物が不足することでエネルギー不足に陥りやすくなります。そうなると肌や脳の働きに悪影響が起きるため、大変危険です。
たしかに、炭水化物のとりすぎは肥満につながりますが、必要な分はきちんと摂取しましょう。
なお、お茶碗大盛りいっぱいは1.5カウント、スパゲティーやうどんは一皿で2カウント分の炭水化物量です。
いわゆるメインディッシュであり、タンパク質を補給する目的のおかずです。こちらは3~5摂取するのが好ましいとされています。
主に油で焼いたり上げたりした肉類(ステーキ、唐揚げ、ハンバーグなど)は一皿で3カウント、焼き魚やお刺身は2カウント、納豆や目玉焼きは1カウントです。
肉や魚はタンパク質の摂取が主な目的ですが、肉や魚に含まれているビタミンKは骨粗鬆症の予防につながるので、主菜の摂取は予防において非常に重要です。
サラダ類が副菜にあたります。こちらは5~6摂取するのが好ましいです。例として、野菜の煮っころがしや野菜炒めは2カウント、野菜サラダやおひたし、ほうれん草は1カウントとされています。
副菜で摂取できるビタミンCは、カルシウムの吸収効率をあげてくれる重要な栄養素です。もちろん、他にも様々な栄養素があり、骨だけではなく、体の調子を整えるためにも必要です。
言わずもがな、カルシウムを摂取するのに重要な要素です。
2摂取するのが好ましく、一日にだいたい牛乳一本分飲めば良いとされていますが、人によっては腹痛を起こす可能性があるのでヨーグルト1パックやチーズひとかけなど、他の乳製品でも良いとされています。
なお、牛乳一杯、ヨーグルト人パックは1カウントです。
果物に含まれているビタミンも、副菜と同じくカルシウムの吸収効率を上げてくれるものが多いです。
こちらも乳製品と同じく2摂取するのが好ましく、みかん2個程度が必要最低限摂取するべき量とされています。
栄養素の殆どはカルシウムの吸収効率に何らかの影響を与えており、必要不可欠なことが分かります。
そのため、ダイエットをしているからと必要以上に食事量を減らすことで、骨粗鬆症になるリスクも存在します。
ダイエットをするにも骨が弱っていては満足にエクササイズもできません。脂肪を減らすのも大事ですが、まずは骨を頑丈にしてから挑みましょう。
そのためにも、栄養バランスを考えることは重要なのです。