
ここでは、骨密度について詳しく調べてみました。簡単にいうと骨密度とは「骨の強さ」のことなのですが、骨粗鬆症の検査では必ず測定するものなので、少し詳しく知っておきましょう。
骨密度(BMD)とは、骨の密度(骨の内部の海綿骨と呼ばれる部分の密度)を表している言葉です。
「カルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が骨にどのくらい含まれているか」、ということを数値化したもので、骨の強度を表しています。
骨量との違いは、外側の皮質骨のミネラル量を含まず、内部の代謝が盛んな海綿骨のみのミネラル量を測る点にあります。骨粗鬆症になるとこの部分に最初に異常があらわれるため、検査ではまずは骨密度を測ることが多いのです。
※骨量との違いは「骨量」のページやカテゴリのトップページも合わせてご覧ください
骨密度を測るためには、YAM(若年成人比率)という数値を使います。
YAMとは、若年齢の平均BMD(Bone Mineral Density)値(=基準値)を100%として考えた時、被験者のBMD値がどの程度減少しているかで判断します。
骨密度(BMD)の測り方は、骨量÷面積という計算式で割り出します。単位はg/平方cm、成人の正常な数値としては約1.0g/平方cmです。この数値を100%としてYAMを算出します。
また、骨密度のピークは18歳~5歳ほどなので、この年齢の時に約1.0g/平方cmがあれば骨密度は問題ありません。
しかし、加齢とともに減少するので、高齢の方はどうしても数値が低くなります。
骨の成分の約半分はカルシウムなどのミネラルでできており、残りの半分はコラーゲン繊維でできています。
骨は皮膚と同じように、「骨代謝」によって毎日新しい骨に生まれ変わり、骨の硬さとしなやかさを保っています。この骨代謝サイクルが正常に働いていないと、骨質や骨密度の低下がおこり、その結果骨がもろく折れやすくなってしまうのです。
骨密度は体の成長とともに増え、ある時期をさかいに徐々に減少していきます。骨密度がピークを迎える時期には個人差がありますが、男女ともに25歳前後のようです。
女性の場合、更年期を迎えて閉経してしまうと、女性ホルモンであるエストロゲンが激減し、骨密度は著しく低くなります。
個人でYAMを計測することはできないので、病院で検査を受けてください。計測方法には様々な種類があるので、それらを紹介します。
微量のX線を2種類使用して、腰椎や大腿骨、橈骨の骨密度を正確に計測します。1平方cmあたりのカルシウムやリンの量を測定することができ、骨粗鬆症の診断のために使用します。
アルミニウム板の貼ってある機械に両手を載せてX線で撮影します。その写真にできた影の濃度から、骨密度を計測することが可能です。診療所などに置いてあるので、病院ではなくても計測できます。
踵やすねの骨に超音波を当てて計測します。X線を使用しないので、人間ドックや検診で使われます。妊娠中の女性でも安全に計測できるというメリットがあります。
CTスキャンとX線を用いた計測方法で、腰椎の骨密度を計測できます。骨を立体的に診ることができるので、より正確な骨密度がわかります。ですが、X線の被曝線量が多いという問題点もあります。
上記は骨粗鬆症や骨の状態を把握するために必要な検査です。骨折や異常があってから計測しては遅いので、定期的に病院で検査を受けるようにしましょう。
上記でYAMが70%未満だと、骨粗鬆症を発症しているかわかります。骨密度の減少は、他にも様々な病気を発症する恐れがあります。
YAMの数値 | 病気の種類 |
---|---|
80%以上 | 無し |
70~80% | 骨減少症 |
70%未満 | 圧迫骨折・くる病・骨軟化症・骨髄炎・腰背痛 |
骨粗鬆症だけでなく、このような症状も発症する可能性が高いです。ただ密度を調べてもらうだけでなく、何が原因で骨が脆くなっているのかも把握しましょう。
総たんぱくやALP(アルカリホスファターゼ)、カルシウム、無機リンなどの骨に欠かせない成分の量を検査して、対策を考えてください。
骨粗鬆症や骨粗鬆症による骨折を防ぐためには、若い頃にきちんと骨の貯金をしておくことが大切です。
しかし、近年、運動不足や睡眠不足、食生活の乱れなど生活習慣の変化により、10代の子供の骨粗鬆症リスクが高まっているという問題もあります。
ただ、大人になってからもわずかであれば骨密度を増やすことができるようです。
乳製品や魚・野菜などからしっかり骨を作るための栄養素を摂る、日光にあたる、適度な運動を取り入れるなどが骨密度を増やすことにつながります。
また、骨密度だけでなく骨質や骨量についても同時に注意することが必要です。