
ここでは、骨粗鬆症に関連する病気とその特徴、年代別の予防法を紹介します。
骨粗鬆症に発症すると骨がもろくなり「骨折」しやすくなってしまうことは、誰もが知っていますよね。
ですが、骨粗鬆症は骨折だけではなく、いくつかの合併症も引き起こしてしまうのです。骨折以外に考えられる病気について紹介します。
動脈硬化はアルコールや甘いものなどの摂り過ぎ、運動不足などの不規則な生活習慣などで引き起こされやすい病気です。
そして、あまり知られていませんが骨粗鬆症になると、この大動脈硬化も悪化します。
カルシウムが不足すると、骨から血液へとカルシウムを送り補おうとします。そのため、カルシウムの摂取量が少ないと、血中のカルシウムが増えすぎてしまい、血管の壁に沈着し石灰化を起こします。
これが原因で、血管は厚くなり傷つきやすくなるのです。そして、血管の筋肉とされている平滑筋の中に入り込むことで血流が悪くなり、動脈硬化を引き起こします。
血管の壁に沈着し石灰化したものがはがれると、血管をふさいでしまいます。そうすると、血流が止まり細胞が壊死してしまいます。
これが心臓の血管で起きるのが「心筋梗塞」であり、脳内の血管であれば「脳梗塞」になります。
骨粗鬆症では、背骨がつぶれ圧迫骨折をしやすいと言われています。圧迫骨折にはほとんど痛みがないことが多く、気づかないうちに背骨が変形し背中が丸くなっていくケースが少なくありません。
そして、背中が丸くなることで腹部が圧迫され胃と胃液が押し上げられて、逆流性食道炎を引き起こしやすくなります。
上記では、骨粗鬆症が招く病気について紹介しました。次は、逆に骨粗鬆症を招きやすい病気について紹介します。
生活習慣病も骨粗鬆症を招いてしまう病気の一つです。
生活習慣病の原因は、運動不足や乱れた食生活などです。このような生活を続けていると骨がもろくなり、骨粗鬆症にもつながってしまいます。
ステロイド剤は、関節リウマチや膠原病などの治療に使用される薬剤です。そのため、炎症を抑える強力な作用があります。
ステロイドは医師の指示のもとで、用法と容量を守っていれば特に問題はありません。しかし、過剰に使用した場合、骨が弱くなってしまいます。
これは、ステロイド剤に骨を作る細胞を弱めたる働きがあるからです。そのため、ステロイド剤を必要以上に使用すると、骨粗鬆症を引き起こすリスクは高まります。
また、少量であっても3か月以上の長期間使用する場合は、ステロイド性骨粗鬆症の対策が必要です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、バセドウ病などの甲状腺機能障害を引き起こすリスクが高まります。
このホルモンには新陳代謝を正常に保つ働きがありますが、過剰に分泌された場合は骨を作る働きに悪影響を与えてしまうからです。
たくさん食べても太らない
食べる量は少ないのに太る
コレステロール値が低い
この症状がある場合は、甲状腺機能障害の可能性があります。項目に該当しているなら検査を受けましょう。
関節リウマチは、関節の内側が炎症し、腫れや痛みなどの症状が現れ、放置すると変形してしまう病気です。
関節に炎症が起こると、”新しく骨を作る働き”を抑える物質が放出されます。それにより骨粗鬆症が引き起こされます。
また、関節が痛いからと運動を避けていると、骨が萎縮し骨粗鬆症をさらに悪化させてしまいます。
そして、関節リウマチや白血病の治療に用いられる「メトトレキサート」という薬剤も、骨量の減少に影響を与えています。
ほっそりした体型に憧れて、ダイエットに励む女性とても多いですよね。しかし、ダイエットでも骨粗鬆症になる可能性があるのです。
特に若年者のダイエットでは、食事バランスが偏りがちです。こうしたダイエットを続けていると、カルシウムの吸収率低下が骨量およびホルモン分泌量の減少を招き、骨粗鬆症になるリスクを高めてしまいます。
骨は、筋肉や臓器を支えるための大切な存在です。骨粗鬆症のような骨の病気を防ぐために、普段からどんなことに気をつければ良いのでしょうか。ここでは、「骨粗鬆症予防のための取り組み」を年代別に紹介していきます。
10代から20代前後にかけて骨密度は増していきます。そのため、10代のうちから積極的にカルシウムを摂取して、”骨の貯金”をしておくことが大切です。
カルシウムは、牛乳だけでなく、ヨーグルトやワカメなどからも摂取できます。こうした点を意識しながらバランス良く食事を摂ると良いでしょう。
思春期における無理なダイエットは骨の成長に悪影響を及ぼしてしまうため、ダイエットをする場合はできるだけ食事制限ではなく”運動”を行うことがポイントです。
20代・30代になると仕事や子育てなどで、生活が不規則になりがちです。
そのため、朝食抜き・運動不足・喫煙・過度の飲酒などで生活習慣病を発症し、骨粗鬆症になるケースもあります。
これを防ぐために、「しっかり朝食を摂る」「エスカレーターではなく階段を使う」「たばこの本数を減らす」などの取り組みを実施していく必要があります。
この年代になると、徐々に骨量が減っていきます。自分の健康状態や骨の状態を見るために定期的に検査を受けましょう。
また、50代になると多くの女性は閉経を迎えて女性ホルモンの量が急激に減少するため、更年期障害を発症しやすくなります。
骨粗鬆症だけでなく、女性特有の病気にも気を付けなければいけません。
60代になると、体の筋力やバランス力は40代・50代よりもかなり低下しています。そのため、些細なことで転倒することが増え、骨折する危険性も高まります。
「まだまだ体力がある」と過信せず、適度なウォーキングや軽いストレッチなどで体を動かすようにしましょう。
この年代では、実際に家の中で転倒し骨折する人が出てきます。転倒防止のために、
などの対策をしておきましょう。転倒・骨折を防ぐには、住環境を整備することが大切です。